「香典袋の表書きってどう書けばいいのでしょうか?」
「香典、御霊前、御仏前って何が違うの?」
「お香典の渡し方に決まったマナーってあるの?」
この記事では、このような疑問をお持ちの方に、香典袋の表書きや香典、御霊前、御仏前の違いについて解説します。香典袋の書き方や用語の意味について分かりやすく説明し、読者の方々が正しい方法を知り、心配や混乱を解消できるようお手伝いします。
香典袋の表書き|御香典、御霊前、御仏前の違い
香典袋の表書きには、大きく分けて「御霊前」「御仏前」「御香典」の3種類があります。
- 「御霊前」は、通夜や葬儀に使う表書きです。仏教の教えでは、人は死後、死後の世界に行き、そこで仏様と出会います。そのため、「御霊前」は、故人が仏様のところへ安らかに旅立つことができるように、お供えするという意味があります。
- 「御仏前」は、四十九日以降の法要に使う表書きです。四十九日以降は、故人が仏様と出会い、成仏したと考えられています。そのため、「御仏前」は、故人を偲び、供養するという意味があります。
- 「御香典」は、葬儀や法要に関係なく、香典を包むときに使う表書きです。宗教を問わず、誰でも使うことができます。
香典袋の表書きは、宗派や地域によっても異なります。例えば、浄土真宗では、「御仏前」ではなく、「御礼」や「御供」を使うことがあります。
香典袋の表書きを書くときは、故人のご家族やご親族の宗教や宗派を尊重して、適切な表書きを選ぶようにしましょう。
御香典を渡すタイミング
御香典を渡すタイミングは、お通夜か葬儀のどちらか一度だけです。基本的にはどちらのタイミングで渡しても問題はありませんが、両方に参列する場合はお通夜で渡すのが一般的です。
お通夜と葬儀の両方で香典を渡すのは「不幸が重なる」ことを連想させ、マナー違反になるため注意が必要です。
また、法要や弔問で渡す場合や、直接渡すのではなく郵送する場合もあるため、状況によってマナーが異なるため注意が必要です。
御香典の書き方
御香典の渡す際のマナー
香典袋に記載する「表書き」や「のし」は、宗教によって異なる場合があるので、できるなら故人の宗派を調べたうえで用意することが好ましいでしょう。
また、収める紙幣の枚数や折り方も宗派によって異なる場合がありますので、注意してください。
御霊前とは
「御霊前」とは、亡くなった方の霊の前に供えることを意味します。故人様に供える香典・供物・供花も同じく「御霊前」となります。
亡くなった方の「霊」の前に供えるという意味です。仏教では亡くなってから四十九日までは霊の状態にあるとされています。そのため、故人様に供える香典・供物・供花も同じく「御霊前」となります。
香典の金額について、一般的な相場は?
香典の金額相場は、故人との関係性や年齢によって異なります。以下は、一般的な金額相場の目安です。
- 両親:20代は「30,000円~100,000円」、30~40代は「50,000円~100,000円」、50~60代であれば「100,000円」といわれています。
- 祖父母:20代は「10,000円~30,000円」、30~40代は「10,000円~50,000円」、50~60代であれば「30,000円~50,000円」といわれています。
- 兄弟姉妹:20代は「30,000~50,000円」、30~40代、50~60代であれば「50,000円」といわれています。
- 叔父・叔母:20代は「10,000円」、30~40代は「10,000円~30,000円」、50~60代であれば「10,000円~50,000円」といわれています。
- 上記以外の親戚:20代は「5,000円~10,000円」、30~40代、50~60代であれば「10,000円~」といわれています。
- 近所の方:20代は「3,000円~5,000円」、30~40代、50~60代であれば「5,000円」といわれています。
- 会社(職場):5,000円が目安とされています。
ただし、これらはあくまでも目安であり、地域や家庭によって異なる場合があります。また、金額は多ければよいというわけではなく、遺族が受け取って困ることがないように配慮することが大切です。
御霊前を渡すタイミング
御霊前を渡すタイミングは、お通夜や葬儀の受付で渡すのが一般的です。また、後日弔問して直接渡す場合は、ご遺族の都合を伺った上で、ご葬儀後ではまだご遺族は慌ただしくされていますので、四十九日法要を執り行った後がよいでしょう。
御霊前に供える場合は、手渡しでお悔やみの言葉とともに渡すか、弔問時に直接御霊前に供えるようにしましょう。また、香典を郵送する場合は、香典袋(不祝儀袋)に現金を包んだ上で、「現金書留専用封筒」に入れて、現金書留で送ることが一般的です。その際、「お悔やみ状」を添えるとよいでしょう。
御霊前のマナー
故人様が霊の状態(四十九日以前)に香典をお供えする場合は「御霊前」となります。
「御霊前」は、多くの宗教に使うことができますので、宗教が確認できない場合には「御霊前」を利用するのがよいでしょう。
御仏前(ごぶつぜん)
亡くなった方の「仏」の前に供えるという意味です。仏教では四十九日を過ぎると故人様は成仏して仏になるとされています。ですから、御霊前ではなく「御仏前」となります。
つまり、「御霊前」と「御仏前」では、香典をお供えするタイミングが重要になってきます。故人様が霊の状態(四十九日以前)に香典をお供えする場合は「御霊前」、故人様が仏の状態(四十九日以後)にお供えする場合は「御仏前」となります(宗派による「御霊前」と「御仏前」の使い分けは後述)。
御仏前を渡すタイミング
「御霊前」が四十九日以前ですから、その後は「御仏前」となります。
ですので、四十九日以後の、主に初盆、一周忌法要、三回忌法要の際にお渡しする香典袋には「ご仏前」と記載することになります。
御仏前のマナー
上記では、四十九日以後が「御仏前」となるとご説明しましたが、故人が浄土真宗や真宗の場合は必要です。それらの宗派では、人は死後四十九日を待たず、すぐに成仏し仏となる(即身成仏)と考えられているため、通夜や告別式の時から「御仏前」を使います。
なお、もしも宗派が分からない場合は、「御香典」と記載するのが無難だとされています。
御霊前と御仏前の違い
「御霊前」と「御仏前」の違いは、以下の通りです。
- 「御霊前」は、仏式の通夜・葬儀(告別式)などで使用されます。亡くなった方の「霊」の前に供えるという意味があり、香典(現金)だけでなく、御供物にも使うことができます。また、多くの宗教に使うことができますので、宗教が確認できない場合には「御霊前」を利用するのがよいでしょう。ただし、浄土真宗ではお通夜・葬儀ともに「御仏前」を利用します。
- 「御仏前」は、一般的には四十九日の法要以後、一周忌・三回忌・七回忌などの法事に使われます。仏教では忌明けまでを御霊と考え、忌明け後は仏様になるとの考えから四十九日の法要以後に使われます。亡くなった方の「仏」の前に供えるという意味があり、仏教の法要の際の香典袋や不祝儀袋の表書きに使われます。
したがって、香典袋の表書きを決める際には、故人様が霊の状態(四十九日以前)に香典をお供えする場合は「御霊前」、故人様が仏の状態(四十九日以後)にお供えする場合は「御仏前」となります。ただし、宗派によって異なる場合があるため、宗教や宗派による使い分け方についても確認することが大切です。
御香典(御霊前、御仏前)に包む金額の相場は?
ご香典に包む金額は、故人との生前の関係性に応じてある程度の相場が決まっています。
関係性が深くなるほど、香典の金額も高くなると考えるべきです。
また、同程度の関係性の場合、年齢が上がるほど香典の金額も高くなるのが一般的な考え方です。
以下は葬式における香典の目安です。
例えば、
- 故人が祖父・祖母の場合は1万円以上です。
- 父母の場合は5万円以上です。
- 兄弟姉妹の場合は3万円以上です。
- 叔父叔母、従妹の場合は1万円以上です。
- 会社の同僚や友人の場合は、関係の深さに応じて5千円~2万円以上です。
御香典(御霊前、御仏前)の金額に関するマナー
偶数のつく金額は避ける
葬式の香典を用意する場合、偶数のつく金額は避けるようにするのが一般的です。
これは、偶数は「割り切れる」数字だからです。割り切れるということは、故人との関係性がなくなってしまうことを連想させるため、縁起が悪いとされています。
また、「4」や「9」などを含む金額も避けるのがマナーです。
これは「死」や「苦」などの言葉を連想させるからです。
遺族に不快な気持ちを与えたりしないように、上記の偶数の数字を避けた上で、相場内で偶数の金額を包むようにしましょう。
香典は世帯ごとに包む
葬式の香典は、基本的に世帯ごとに包むのが良いと思われます。
家族単位で考え、夫婦で参列する場合は連名で用意して構いません。
連名で香典を用意する場合、一人分と同額で構いません。
その理由は、香典返しも一世帯にひとつであるためです。
ただし、葬式後の食事がある場合は、やや多めに包むようしましょう。
食事は人数分の費用が発生するためです。
一人あたり5,000~10,000円を上乗せする程度の金額相場内で調整すると良いでしょう。
香典袋の表書き|御香典、御霊前、御仏前の違い:まとめ
香典袋の表書きや香典、御霊前、御仏前の違いについて、この記事で解説しました。
香典袋の表書きは故人への思いを込めた一言が大切です。香典は葬儀や法要における供物であり、御霊前や御仏前は故人の霊前に供えるものです。それぞれの違いに注意しながら、大切な方のために適切な形でお別れの気持ちを伝えましょう。
迷った際は周囲の人や葬儀社に相談することも有効です。大切なのは故人への感謝や思いを心から伝えることです。悩むことなく、自分らしい形で最後のお別れを迎えることができるでしょう。
香典袋の表書きや供え物は、故人との繋がりや心の想いを大切にする重要な要素です。気持ちを込めた正しい方法で行い、故人への感謝と敬意を示しましょう。