葬儀や法要の際のお布施の相場、渡し方など

お布施

「お布施って、いったいなんなんですか?」
「葬儀や法要でのお布施の相場を知りたい!」
「お布施の渡し方にはどんなマナーがあるのですか?」

この記事は、そんな心配や不安を解消するために、葬儀や法要の際のお布施の相場や渡し方について詳しく解説します。また、お布施の渡し方やマナーについても詳細にお伝えします。葬儀や法要で失礼のない適切な振る舞いができるように、ご参考にしてください。


目次

お布施の意味

お布施

お布施はなんのためにあるのでしょうか?

お布施は、葬儀や法要の際に行われる寄付や奉納のことを指します。お布施は故人やそのご家族への思いやりや敬意の表れであり、さまざまな目的を持っています。

まず、故人への供養としての意味があります。お布施を通じて、故人の魂が安らかに成仏することや、その人の功徳や善行が祈られます。

また、お布施は仏教や宗教の教えに基づいて行われる行為でもあります。自己の執着心を捨て、物質的な富や財産を共有し、他者や社会への利益を願う心の修行の一環としても捉えられます。

さらに、お布施は社会への貢献や共同体の支援にもつながります。お布施はお寺や寺院、慈善団体などへの寄付として行われることがあり、その寄付は社会的な善意や福祉活動の一環となります。

要するに、お布施は故人や宗教、社会への思いやりや感謝の気持ちを表す大切な行為です。自己の利益だけでなく、他者や社会のために尽くす心を育む機会でもあります。

昔のお布施、今のお布施

お布施として、昔は反物や作物、骨董品など家にあるものを先祖供養のお礼として僧侶に渡していました。

現代ではお金を包むのが一般的です。お布施は葬儀や法事の際に渡されることが一般的で、読経や戒名に対する謝礼として渡されます。

お布施の意味や金額相場、マナーについては以下のようなことが知られています。

  • お布施は、僧侶へのお礼として渡される金品です。
  • お布施の金額は個人の判断や事情によって異なりますが、一般的には数千円から数万円が相場とされています。
  • お布施は法要が始まる前に挨拶をするタイミングで渡すのが通例です。
  • お布施は現金を包むのが一般的ですが、場合によっては他の形式の贈り物も適切です。

お布施は、僧侶への感謝の気持ちや先祖供養の一環として行われる伝統的な行為です。

お布施の相場はどのくらいか?

法事・法要のお布施は、平均3万~5万円程度

法事・法要でのお布施の相場は、一般的には平均3万円~5万円程度とされています。

ただし、年忌法要の場合は、一周忌は3万円~5万円、その後の三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌は、1万円~5万円を包むことが一般的です。

法事・法要でのお布施の相場とお車代としてのお布施の相場を表にまとめます。

お布施の種類 相場
法事・法要3万円~5万円程度
お車代5,000円~1万円程度

以上が一般的な相場となりますが、地域や宗派によって相場は異なる場合があります。

なお、「繰り上げ初七日法要」には、通常支払うお布施に初七日法要分の3万~5万円ほどを加えた額を包みます。
※「繰り上げ初七日法要」とは、本来故人の臨終から7日後に行うことになっている初七日法要を、葬儀の日に繰り上げて一緒に行う法要で、現代では一般的に行われています。

※ 三周忌法要以降は、1万円∼5万円が相場になります。

納骨式のお布施は、平均1~5万円程度

納骨式は、故人の遺骨をお墓に納める儀式です。この重要な行事には、通常、僧侶による読経が含まれます。

納骨式におけるお布施の相場は一般的に3~5万円程度です。ただし、檀家の関係が深い場合や特別な要望がある場合は、それ以上の金額を渡すこともあります。

さらに、お墓を新たに建てる際には、開眼法要や回忌法要といった別の儀式を同時に行うことがあります。その際には、別途お布施が必要となります。お布施の相場は一般的に2~3万円ほどとされています。

宗教によっても異なる場合がありますが、神式の場合は仏式と同様の相場が一般的です。キリスト教の場合は、お布施の相場が1~5万円程度となることが一般的です。

大切な人の納骨式や関連する儀式では、適切なお布施を行うことで、敬意と感謝の気持ちを示しましょう。

さらに、納骨式に僧侶を呼んでいるので、御車代と御食事代を包む必要があります。
・御車代とは、僧侶が足を運んでくれたことに対する費用で、相場は1万円です。
・御食事代は納骨式のあとの食事会に僧侶が参加を辞退した場合のみ渡します。相場は1万円です。

お布施袋と書き方

お布施袋には、故人や法要に対するお布施を包んで入れる役割があります。お布施袋には以下のような書き方が一般的です。

  1. 表書き:
    お布施袋の表面には、故人や法要の名前や日付を書きます。通常は「お布施」という文字とともに、ご遺族や主催者が希望する表記を使用します。
  2. 袋の裏書き:
    お布施袋の裏面には、自分の名前や住所を書くことがあります。これにより、お布施を贈ったことが確認されると同時に、お礼状や領収書の送付先としても利用されることがあります。

書く際のポイントは、はっきりと読みやすい文字で書くことです。筆記用具やインクの色は、一般的には黒や青が使用されます。

なお、地域や宗派によっては異なる慣習やマナーがある場合がありますので、主催者や関係者の指示に従うことが重要です。また、葬儀や法要の場で配られるお布施袋には、事前に用意されたものがあることもありますので、その場の状況に合わせて適切に対応しましょう。

お布施袋の4つの種類

仏事の種類や地域・宗派の違いなどにより、お布施袋にもいろいろなタイプのものが販売され使用されています。使い方を知っておけば、迷うことなく使用することが可能になります。

お布施袋を分けると、4つのタイプになります。

僧侶にお渡しするお布施袋には大きく分けて4つのタイプがあります。使われ方がそれぞれ違いますので、用途に適したタイプのお布施袋を選びます。

なお、どんな仏事でも共通して使えるお布施袋もありますので、知っておくと便利です。

1)水引なしの無地の封筒に「御布施」と書かれたお布施袋

水引がない無地の封筒に「御布施」と書かれたお布施袋は、一般的に使用されるタイプの一つです。お布施袋には水引が必要かどうかについては、お布施に水引が必要ないとされています。実際には、宗派や地域の風習によっては水引があるタイプを使用することもあるため、不安な場合は親戚やお寺に確認することをおすすめします。

※水引(みずひき)とは、祝儀や不祝儀の際に用いられ、包み紙などにかける紅白や黒白などの帯紐のことです。

この水引がついていない単純封筒タイプのお布施袋は、宗派を問わずあらゆる仏事で使えるので、どんなお布施袋がよいか迷ったらこれを選べば問題ありません。

なお、このお布施袋は、市販のものではなく、無地の封筒に自分で「御布施」と墨で書いて使用することもできます。

また、お布施袋には、御布施の文字の下に氏名を記載することが一般的です。ただし、宗派や地域によっては、違う書き方をすることもあります。例えば、浄土真宗では、御布施の文字の下に「御礼」や「御供」と書くこともあります。また、お布施袋に氏名を記載する代わりに、御布施を包む際に、氏名を書いた紙を一緒に包むこともあります。

2)黒白の水引がついた不祝儀袋

黒白の水引がついた不祝儀袋は、通夜や葬儀などの弔事(不幸な出来事)に使用されるものです。水引は、紙を紐状に結んだもので、慶事(お祝い事)には紅白の水引、弔事には黒白の水引を使用します。黒白の水引は、「別れを惜しむ」という意味があります。

不祝儀袋は、白無地の封筒に、黒白の水引を結んだものです。不祝儀袋には、香典を包んで、故人や遺族に渡します。

不祝儀袋は、通夜や葬儀などの弔事には欠かせません。弔事にお参りする際には、不祝儀袋を用意しておきましょう。

なお、お布施袋として使う場合は四十九日までの、いわゆる弔事が多く、それ以降の仏事には、水引なしの無地封筒に「御布施」と書かれたお布施袋を使うのが無難です。

3)黃白の水引がついた不祝儀袋

黄白の水引がついた不祝儀袋は、主に関西地方で使用されることが多く、京都が発祥地とされています。黄白の水引は、5万円以上を包む際に使用されることが一般的です。ただし、地域や宗派、独自の風習によっては、黒白の水引や他の色の水引を使用する場合もあります。

また、お布施袋に水引が必要かどうかについては、お布施に水引が必要ないとされています。水引は故人を供養する意味があるため、お布施には必要ありません。

なお、このような黄白の水引がついた袋を使用するのは一周忌からで、四十九日までは黒白の不祝儀袋を使用するのが一般的となっています。

4)双銀の水引がついた不祝儀袋

双銀(銀色×銀色)の水引がついた不祝儀袋は、黒白の水引の袋と同じように、一般的には通夜や告別式でのお香典や、その後の仏事で遺族に渡す御仏前を包む際に使用します。
地域により、お坊さんに渡すお布施や戒名料を包むお布施袋として用いられることもあります。

<注意>双銀の水引がついた不祝儀袋と黒白の水引がついた不祝儀袋との違いは、包む金額が比較的多い場合(5万円~数十万円)に双銀の水引がついた不祝儀袋を用いることが多いです。

寺院の格式が高く、お布施金額も相当料を要求される場合などは、双銀の水引がついたお布施袋を使用する例が多いです。

金額が高額でない場合(5万円以下)は、1)~3)のお布施袋を使用します。

お布施の表書きの書き方

次に、お布施袋の書き方について解説します。

お布施の表書きの書き方については、以下のようになります。

  • 仏教の場合、封筒の上半分に「お布施」または「御布施」と書きます。
  • 地域や宗派によっては、「御礼」「御回向料」と書く場合もあります。
  • 中袋には、金額を大字(旧字体)で記入します。

以上が一般的なお布施の表書きの書き方です。

・お布施袋の表書きは「お布施」「御礼」などが一般的です。
 下半分に施主の名前を書いてください。「○○家」のように家名を書いても、本人の氏名を書いてもどちらでも構いません。

  • 地域や宗派によっては、「御礼」「御回向料」と書く場合もあります。
  • 中袋には、金額を大字(旧字体)で記入します。

神式やキリスト教では、「お布施」とはいわないので、「御礼」としておくのが無難でしょう。
牧師や神父ではなく、教会にお布施を宛てる場合は「献金」・「ミサ御礼」などとなります。

また、香典は薄墨で書くのがマナーとされていますが、お布施は宗教に関係なく、黒い墨で表書きを記入します。
薄墨で書くのが不幸を悼む気持ちを表していることを考えれば、お布施には当てはまらないこともわかるでしょう。

お布施の金額の書き方

お布施の金額の書き方については、以下のような手順が一般的です。

  1. お布施袋の表面には、「お布施」または「御布施」と書きます。
  2. 中袋の表面には、金額を大字(旧字体)で書きます。
  3. 金額は漢数字を使用して書きます[3]。例えば、「一万円」は「壱万円」と書きます。
  4. 金額の書き方は、中央右側で住所や名前より少し上に書くのが一般的です。

以上がお布施の金額の書き方の一般的な手順です。ただし、地域や宗派によって異なる場合もあるため、具体的なマナーや書き方については、お寺や葬儀社に相談することをおすすめします[2][5]。

お布施の金額は、できるだけ旧字体の漢数字を使用します。
参考「1:壱、2:弐、3:参、5:伍」

旧字体の漢数字を使用する理由は、数字の改ざんを防ぐためです。

金額の前に「金」と書き、包んでいる金額を表記し、最後に「圓」と書きます。

なお、金額が10万円以上の場合は圓のあとに「也」を付けるのが基本ですが、省略も可能です。

お布施に使うお札は新札を使います

お布施に入れるお札は向きを揃えて肖像が封筒の表面になるように入れます。

お香典の場合、お札は旧札を使用するのがマナーですが、お布施の場合は新札で包むのがマナーです。

※お香典の場合、新札がタブーなのは故人の死を予想して予め新札を用意していたような印象を与えるためです。お布施の場合、僧侶に不幸があったわけではないので新札でも問題ありません。

お布施に使うお札の向き

お布施に使うお札の向きについては、以下のようになっています。

  • お札の肖像画が封筒の表側にくるように入れるようにします。
  • お札の向きは揃えて、開封したときに肖像画が見える向きにします。
  • 中袋の表とお札の表を同じにし、お札の顔が書かれている部分を袋の上部にくる向きに入れるようにします。

お布施に使うお札の向きには、以下のような理由があります。

  • お札の肖像画が封筒の表側にくるように入れることで、お札の顔が見えるようになります。これは、お布施を受け取る側に対する敬意や感謝の気持ちを表すためです。
  • お札の向きを揃えることで、開封したときに肖像画が見えるようになります。これは、お布施を受け取る側が中袋を開封したときに、お札の顔が正しく向いていることを確認できるようにするためです。
  • お札の向きを揃えることで、美しい見た目を保つことができます。これは、お布施を包む際に丁寧さや心のこもり具合を表すためです。

以上がお布施に使うお札の向きに決まりがある理由です。これらのマナーに従うことで、お布施を受け取る側への敬意や感謝の気持ちを示すことができます。

お布施の渡し方、お渡しする際の作法は?

お布施をお渡しするタイミング

お布施をお渡しするタイミングについて。

  • 葬儀や法事・法要などでのお布施は、一般的には読経の終了後にお渡しするのが良いとされています。読経が終わった後、僧侶に挨拶をし、お礼の言葉を述べながらお布施を渡すことが一般的です。
  • また、葬儀の場合は、喪主が挨拶に出向いた後にお布施を渡すことが一般的です。喪主が挨拶を終えた後、お布施を渡すことで、感謝の気持ちを表すことができます。

具体的なタイミングは、地域や宗派、家庭の習慣によって異なる場合がありますので、参考程度にご覧ください。お寺や葬儀社に相談することで、正確なタイミングを確認することができます。

法要や法事で寺院に伺った場合のタイミング

法事や法要で寺院に伺った場合のお布施を渡すタイミングは、以下のようにすると良いでしょう。

  • 通夜や葬儀の場合、開式前に僧侶へ挨拶するときが一般的なタイミングです。通常、葬儀社に寺院の手配を依頼した場合でも、当日の儀式の前に顔合わせの挨拶をするタイミングがありますので、その時にお布施を渡します。
  • 法事の場合、法事が始まる前の挨拶でお布施を渡すのが一般的です。時間があまりない場合は、法事が終わって一息ついたタイミングで渡すようにしましょう。また、受付が用意されている場合は、受付係の方へお布施を渡すこともあります。

具体的なタイミングは、地域や宗派、家庭の習慣によって異なる場合がありますので、参考程度にご覧ください。また、葬儀や法事に関するマナーやタイミングについては、葬儀社や寺院に相談することをおすすめします。

お布施の渡し方のマナー

お布施の渡し方にはマナーがあります。

  • お布施は、読経の対価として支払うものではなく、故人を供養するためのものです。そのため、お布施を渡す際には、敬意や感謝の気持ちを表すことが大切です。
    僧侶にお布施の金額を聞くと、「お気持ちで結構でございます」と答えることが多いのですが、まさにこの「お気持ち」を表すために受け取ってもらうのがお布施ですから、大切なことは感謝の気持ちを忘れてはいけないということです。
  • お布施を渡す際には、お札の向きにも注意が必要です。お札の表(肖像画が描かれている面)が上になるように包むようにしましょう。
  • お布施を渡す際には、お札を直接手渡しするのではなく、お布施袋に入れて渡すようにします。また、お布施袋には、黒色の墨汁で「御布施」と書きます。

以上がお布施の渡し方の一般的なマナーです。

なお、特に、遠方から来て頂いた場合には、そのお礼も加えて感謝を表すようにします。このとき、お車代を別途、お渡しするようにします。

お礼の言葉の例として

本日は母の葬儀に足を運んでいただき、ありがとうございます。
わずかではありますが、お礼をさせていただきますので、お受け取りください。

お布施をお渡しするとき切手盆に載せて渡すのは?

お布施を渡す際の作法として、切手盆に載せて渡すことがあります。

しかし、切手盆を使用するかどうかは地域や宗派、家庭の習慣によって異なる場合があります。一般的には、お布施袋に入れて手渡すことが一般的です。また、お布施袋には、黒色の墨汁で「御布施」と書くことが一般的です。

袱紗に載せて渡す

お布施を渡す際に、お盆がない場合は袱紗(ふくさ)に包んで渡します。

その際、お布施を袱紗に包んだ状態で僧侶に差し出し、お布施を袱紗から出した後、上記の写真のように袱紗の上に置きます。そして、僧侶から見て正しい向き(文字の向き)になるように回し、袱紗ごと持ち上げて渡します。

お布施以外に渡すもの(例えば、お車代、御膳料)があれば、このタイミングで同時に渡しましょう。

お布施の渡し方

出典:小さなお葬式

お布施を直接手渡すのではなく切手盆か、ふくさの上に置いて渡します。渡す際はお坊さんや神職から見て正面になるようにお出しします。
自宅の場合はお盆の用意もできますが、他の場所で葬儀・葬式をする場合は、ふくさを使用します。

お布施の渡し方1
お布施の渡し方2

香典は相手に差し上げるものですから、折ったり汚したりしないように必ずふくさに包んで持参します。紫色のふくさを1つ用意しておけば、慶弔どちらにも使えます。

香典の包み方1左側につめが来るようにふくさを開き中央に不祝儀袋を置きます。香典の包み方2ふくさの右側を折ります。香典の包み方3ふくさの下を折ります。
香典の包み方4ふくさの上を折ります。香典の包み方5残った左側を折って包み、つめをさして止めます。

葬儀や法要の際のお布施の相場、渡し方など:まとめ


葬儀や法要の際のお布施の相場や渡し方について、この記事で詳しく解説しました。お布施の相場には個人の意向や関係性によって幅がありますが、一般的な目安をお伝えしました。

お布施の渡し方やマナーには敬意と感謝の気持ちが重要です。相手に寄り添い、心からの思いを込めてお布施を渡しましょう。また、自分の経済状況や関係性に合わせた金額を選び、無理のない範囲で行いましょう。

お布施は故人やそのご家族への思いやりの表れであり、大切な意味を持っています。この記事を参考にして、適切なお布施の方法を身につけましょう。故人への最後のお別れに、心を込めたお布施を贈りましょう。

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